埼玉で介護・福祉施設の坪単価を調べるときは、施設の種類と工事範囲をそろえて確認することが重要です。参考として、福祉医療機構の2025年度調査では、埼玉県を含む首都圏のユニット型特別養護老人ホームの建築費は、坪換算で約156.4万円(税込)でした。ただし、埼玉県単独の相場や、すべての介護・福祉施設に共通する単価ではありません。
出典:独立行政法人福祉医療機構「2025年度 福祉・医療施設の建設費について」(2026年7月22日公表。1㎡当たり47.3万円を1坪約3.3058㎡で換算)
本記事では、公的データといのうえ工務店が公開する木造施設の参考価格を区別し、設備・外構などの別途費用を含めて総予算を考える方法を解説します。「坪単価は予算内だったのに、見積総額が想定を超えた」という事態を防ぐための確認表も紹介します。
埼玉の介護・福祉施設の坪単価を公的データで確認
公的な建設費データは、調査対象の施設・地域・年度が自分の計画に近いかを確認して使います。例えば、特別養護老人ホームの調査結果を、小規模なデイサービスや障がい者グループホームの予算にそのまま当てはめることはできません。
福祉医療機構が公表した2025年度のユニット型特別養護老人ホームの数値は、次のとおりです。
| 集計対象の地域 | 公表された㎡単価(税込) | 坪に換算した単価(税込) |
|---|---|---|
| 全国平均 | 44.3万円/㎡ | 約146.4万円/坪 |
| 首都圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県) | 47.3万円/㎡ | 約156.4万円/坪 |
この調査は福祉医療機構の融資先を対象とする新築工事のデータで、建築工事費には設計監理費を含みます。一方、土地造成費・既存建物解体費・仮移転費などは含みません。また、㎡単価の集計には複合型施設も含まれるため、個別施設の見積金額とは条件が異なります。
出典:福祉医療機構「2025年度 福祉・医療施設の建設費について」1~2ページ。坪単価は公表値から換算し、小数第1位に丸めています。
いのうえ工務店の木造施設の参考坪単価
当サイトの介護施設・福祉施設の商品ページでは、木造の掲載モデルとして税別43.9万~51.5万円/坪の参考価格を公開しています。これは工事範囲を限定した価格で、設備を含めた完成時の総額を示すものではありません。
| 掲載モデル・工法 | 掲載の本体坪数 | 参考坪単価(税別) | 参考工事費(税別) |
|---|---|---|---|
| 19床・平屋/在来工法 | 172.0坪 | 51.5万円/坪 | 8,854万円 |
| 30床・2階建て/在来工法 | 302.0坪 | 43.9万円/坪 | 13,254万円 |
| 60床・2階建て/2×4準耐火 | 600.0坪 | 44.9万円/坪 | 26,928万円 |
出典:当サイトの介護施設の商品ページおよび福祉施設の商品ページ(2026年10月23日確認。数値・モデル区分は掲載表による)
- 掲載価格に含む範囲:建物の本体部分、基礎、内装・外装の仕上げ。
- 掲載価格に含まない範囲:電気・給排水・空調の各設備、特殊基礎、造成、外構、上下水道の取出し工事。
参考価格は地域・敷地・仕様などで変わります。価格の更新時期や詳細な地盤・設備条件は公開表だけでは判断できないため、計画する敷地と仕様に合わせた見積もりが必要です。床数の表記も、各種施設の定員・設備基準に適合することを一律に示すものではありません。
前章の公的データとは税区分・施設条件・工事範囲が異なるため、両者の差をコスト削減額として扱うことはできません。
坪単価に含まれない費用と総事業費の考え方
必要な資金を把握するには、坪単価から算出した建築費に、その見積もりに含まれていない工事・諸費用・開設資金を加えます。以下の表を使い、各項目が「含まれる」「別途」「未確定」のどれかを確認しましょう。
| 確認する費用 | 具体的な内容 | 見落としを防ぐ質問 |
|---|---|---|
| 建物本体 | 基礎、構造、屋根、外壁、内装など | 坪数は延床面積か、施工床面積か。防耐火仕様は確定しているか。 |
| 建物設備・施設用設備 | 電気、給排水、空調・換気、消防設備、介護浴槽、厨房、呼出設備など | 機器本体と設置工事の両方を計上しているか。必要な能力・台数は決まっているか。 |
| 敷地・外構 | 地盤対策、造成、擁壁、駐車場、上下水道引込み、既存建物解体など | 現地調査済みか。未調査の項目をゼロ円として扱っていないか。 |
| 設計・申請・諸経費 | 設計監理、調査、申請、登記、融資関係費用など | 施工会社の見積もりに含む項目と、別契約の項目を分けているか。 |
| 土地・開設準備・運転資金 | 土地取得、家具・備品、採用・研修、開設後の資金繰りなど | 建築工事の支払いと、事業運営に必要な資金を分けて確保しているか。 |
総事業費は、建築工事・別途工事・諸費用・土地関係費・開設資金・予備費を、重複なく積み上げて整理します。税込・税別を統一し、土地代など課税関係が異なる項目は個別に確認してください。「未確定」は「不要」ではないため、調査や仕様決定の時期も一覧に残すことが大切です。
施設の種類・階数・設備で建築費はどう変わる?
同じ延床面積でも、居室中心か、入浴・訓練・作業スペース中心かによって必要な工事が変わります。「介護福祉施設」という一括りで比較せず、提供するサービスを具体化してから見積条件を決めましょう。
| 施設・事業の例 | 費用に影響する計画条件 | 比較前にそろえる内容 |
|---|---|---|
| 入居型の高齢者施設 | 居室、共用部、入浴・食事設備、見守り動線 | 施設種別、定員、介護内容、居室・共用部の面積 |
| デイサービス | 活動スペース、浴室、トイレ、送迎車の乗降・駐車場所 | 利用定員、入浴の提供方法、厨房の運用、送迎計画 |
| 障がい者グループホーム | 個室・共用部、職員の支援スペース、利用者に応じた設備 | サービス類型、住居構成、定員、想定する支援内容 |
| 生活介護・就労支援の事業所 | 活動・作業スペース、収納、機器用電源、給排水 | 活動・作業内容、利用者像、導入機器、介助方法 |
木造・鉄骨造・RC造は同じ条件で比較する
構造の選定は、同じ定員・必要面積・設備・防耐火条件で総額を比較して行います。木造も選択肢になりますが、大きな無柱空間や特殊な仕様を求める場合は、その条件に応じた検討が必要です。
平屋は上下移動を減らせる一方、必要な建築面積や屋根・基礎の規模を確認する必要があります。2階建てでは敷地の使い方と、階段・昇降設備・避難計画などを合わせて比較しましょう。坪単価の低さだけで階数を決めず、職員の移動や介助のしやすさも評価することが大切です。
デイサービスの構造選びについては、埼玉のデイサービス建築費と木造を検討するポイントも参考にしてください。
埼玉で確認したい土地条件と行政への事前相談
埼玉県内でも、費用は市町村名だけでは決まりません。建築できる条件・敷地整備・災害への備えを候補地ごとに確認することで、後からの追加費用を把握しやすくなります。
土地の契約前から事業と建築の条件を確認する
候補地が見つかった段階で、運営したいサービスの条件と建築の条件を並行して確認しましょう。用途地域・接道・開発許可の要否、給排水の引込み状況、造成や擁壁の必要性などを整理し、費用が未確定の項目を残しておきます。
埼玉県は、障害福祉サービス事業所や障がい者グループホームについて、土地・建物の選定前に運営予定事業者から相談するよう案内しています。所在地・サービスによって担当する指定権者が異なるため、計画地の窓口を確認してください。
出典:埼玉県「施設・事業者指定の手続き」、「事業者指定の手続き(共同生活援助)」
グループホームの計画については、埼玉でグループホームを新築する前の確認事項でも詳しく解説しています。
浸水想定と避難方法を配置・設備計画に反映する
候補地のハザード情報は、建物の配置や設備の設置位置を決める前に確認します。埼玉県の案内を通じて、市町村の洪水ハザードマップや浸水深・避難経路などを確認できます。
そのうえで、利用者が避難できる方法、設備の浸水対策、必要に応じた敷地・建物側の対策を設計者と検討します。これらに伴う費用も比較し、土地価格と敷地対策費を合わせて判断しましょう。
確認先:埼玉県「洪水ハザードマップ」
建築費を抑えるための見積比較の進め方
費用を調整する際は、必要な介護・支援の機能を確保したうえで、面積・建物形状・設備仕様を見直します。見積もりから工事を外して表示額だけを下げても、総事業費が減るとは限りません。
- 施設の条件を共通にする:サービス種別、定員、必要諸室、想定利用者、開設希望時期を同じ条件書にまとめます。
- 面積の数え方を統一する:延床面積と施工床面積を区別し、居室以外の廊下・収納・職員スペースも含めて比較します。
- 工事範囲を照合する:本体、設備、外構、設計監理などを一覧化し、別途工事と施主が直接発注する工事も加えます。
- 変更案を総額で検証する:建物形状の整理や設備仕様の見直しについて、削減できる費用と運営への影響をセットで確認します。
- 未確定費用を解消する:地盤や引込み工事の調査、行政・消防との協議結果を反映し、見積有効期限と価格変更条件も確認します。
定員が同じなら、建築費の坪単価に加えて「定員1人当たりの建築費」も計算すると、面積の違いによる負担を把握しやすくなります。ただし、事業種別や費用範囲が異なる施設同士の比較には使わず、運営に必要な広さを確保したうえで検討してください。
よくある質問
Q. 土地や定員が決まっていなくても費用相談はできますか?
A. 決まっていない項目がある段階でも、条件を整理するための相談はできます。希望する市町村、サービス種別、定員の候補、総予算を用意すると検討を進めやすくなります。概算で置く部分と、敷地・仕様の決定後に見直す部分を区別しましょう。
Q. 建築費の見積もりは、融資を申し込むまで同じ金額で使えますか?
A. 同じ金額で使えるかは、見積有効期限と前提条件によります。資材・設備価格や着工時期、設計変更の扱いを確認し、融資の検討時と契約前に必要な更新を依頼してください。
Q. 厨房や介護浴槽を別の会社に発注すると安くなりますか?
A. 機器の購入価格だけでは判断できません。搬入・据付け、電源・給排水接続、試運転、保守の範囲をそろえて比較します。別発注にする場合は、施工会社と設備会社の工事・保証の担当範囲を明確にしてください。
Q. 補助金があれば、その分だけ借入額を減らせますか?
A. 補助金の対象・採択条件・入金時期を確認してから判断します。建築費全額が対象になるとは限らず、工事代金の支払い時に別途資金が必要になる場合もあります。利用できない場合の資金計画も用意し、県や市町村の最新の募集要件を確認してください。
確認先:埼玉県「高齢者福祉施設整備等に係る補助金について」。障がい福祉施設については、該当する事業の担当窓口へ確認してください。
まとめ|施設に合う坪単価から総予算を組み立てる
埼玉で介護・福祉施設の新築を検討する際は、施設種別・規模・工事範囲・税区分が合う坪単価を使うことが基本です。公的な建設費データや商品ページの参考価格は、それぞれの対象条件を確認して活用しましょう。
設備、地盤、外構、設計・申請、開設資金まで整理すれば、必要な資金と調整できる項目が見えてきます。まずは候補地と運営条件をまとめ、別途費用と未確定費用を含めた総額で計画を比較してください。
埼玉の介護・福祉施設建築を、費用と事業計画から相談しませんか
株式会社いのうえ工務店が運営する「埼玉県 中大規模木造建築の相談窓口」では、木造の介護・福祉施設建築についてご相談を受け付けています。介護施設の商品ページでは、運営収支を考慮した事業計画書作成や融資に関するサポートも紹介しています。
「この土地で必要な施設を建てられるか」「設備を含めてどの程度の予算を考えるか」など、検討中の条件をお聞かせください。ご相談時に施設種別・定員・候補地・予算を共有することで、建築条件と見積もりに必要な確認項目を整理しやすくなります。






