木造の限界を超える?「LIDトラス」の上棟現場へ
現在施工中の大型木造倉庫の現場では、建物の骨組みとなる重要な工程「建方(たてかた)」が行われています。
今回採用しているのは、「LIDトラス」という新しい工法です。

写真を見て「おや?」と思われた方もいるかもしれません。 鉄骨造のような巨大な空間を作っているのに、使われている木材はホームセンターでも見かけるような一般的なサイズ(一般流通材)なのです。 太くて高価な集成材の梁(はり)を使わずに、なぜこれだけの大空間が作れるのでしょうか。
「屋根」を最強の「蓋(LID)」にする技術
その秘密は、工法の名前にもなっている「LID(リッド=蓋)」という考え方にあります。
一般的な木造建築(在来工法など)では、屋根は雨風をしのぐための傘のような存在でした。
しかし、このLIDトラス工法では、屋根部分を強固なトラス構造で一体化し、建物全体に頑丈な「蓋」をしてしまいます。

天井に見えるこの幾何学的なトラス組みが、屋根全体を「水平構面(構造的な板)」として機能させます。
これにより、壁や柱にかかる負担を劇的にコントロールできるようになり、内部に柱がいらない最大スパン約24mもの大空間が可能になるのです。
「ものつくり大学」との共同開発で生まれた信頼性
この工法は、株式会社ランバーテックと「ものつくり大学」の小野泰教授との共同開発によって生まれました。 「木造で大空間を作りたいけれど、コストは抑えたい」「鉄骨造から木造へ切り替えたい」というニーズに応えるため、何度も実験を繰り返して実用化された技術です。
現場の写真をよく見ると、トラスの接合部には専用のメタルプレート(ネイルプレート)が使われているのが分かります。 これらは全て工場でプレカット・組み立てが行われてから現場に運ばれるため、職人の腕によるバラつきがなく、構造計算通りの極めて高い強度が確保されています。
コストダウンと工期短縮を両立
今回の現場でも、LIDトラスのメリットがいかんなく発揮されています。
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特殊な材料が不要 どこでも手に入る規格寸法の木材を使用するため、特注の巨大な梁を使う工法に比べて材料費を大幅に抑えられます。
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スピーディーな施工 工場で作られたトラスユニットを、現場でクレーンを使って「置くだけ」のように組んでいくため、現場作業が非常に早く進みます。
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自由な空間設計 邪魔な柱がないため、倉庫内のレイアウトは自由自在。将来的な用途変更にも柔軟に対応できます。
完成が楽しみな「木の巨大空間」

今はまだ骨組みの状態ですが、この頭上に広がるトラスの連続美は、完成して天井が貼られると見えなくなってしまいます。 しかし、この見えない「木の蓋」こそが、安価で・強く・広い空間を支える要(かなめ)なのです。
鉄骨造に負けない強度と、木造ならではのコストメリットを両立した「LIDトラス工法」。 次回のレポートでは、外壁工事が進み、倉庫としての姿が現れてくる様子をお届けします。







